千年以上の伝統の祭


千年以上の伝統の祭

千年以上の伝統の祭

日本は、伝統が途切れることなく続いてきた祭が数多く残っています。祭は風習や伝承に密接にかかわって形成されてきたものですから、いつ、どのような形で、誰がはじめたかなど、古くなればなる程、由来は伝承によるものが大きくなりますが、それでも中には1000年以上の歴史を重ねている祭も確かにあります。時の権力者や時代の風習・流行などによって緩やかに変わりつつ、現在に至っているものもあれば、古代から変わることなく、守り続けているものもあり、歴史のロマンを感じつつ、楽しむことができるでしょう。

古墳時代

謎の多い古墳時代は、ヤマト王朝が成立・統一していった時代です。日本の歴史としては、当時の記述がなく、神話・伝承ばかりが残された空白の時代。しかしながら、その時代から始まったと考えられている祭があるから驚きです。
中でも特に古い祭が大阪の住吉大社の「御田植神事」。重要な神事であり、国指定重要無形民俗文化財。神功皇后の時代の3世紀頃に始まったと伝えられており、その歴史は1700年近くになります。また、久留米の「大善寺玉垂宮の鬼夜」も古く、仁徳天皇の時代の4世紀頃。こちらも1600年近い歴史があり、国指定無形民俗文化財です。


飛鳥・奈良時代

飛鳥・奈良時代

聖徳太子や天智・天武天皇が活躍した飛鳥時代と、平城京の都が完成し、天平文化が花開いた奈良時代。このころになると、ようやく文献や建造物など、資料も残されるようになりました。その当時に始まったと考えられる祭も、重要な資料の一つです。
飛鳥時代から続く祭の代表は、聖徳太子ゆかりの「愛染祭」。1400年の歴史があり、現在は江戸時代に始められた行事なども併せて、大阪の賑やかな夏祭となっています。「葵祭(賀茂祭)」は源氏物語にも登場する歴史絵巻の代表格。平城京の鎮守の神であった賀茂の大神への祭礼です。また地方では、岩手の「黒石寺蘇民祭」も始まっています。さらに天平年間になると、国指定重要無形民俗文化財になっている大阪の「住吉祭」や、大津の「山王祭(日吉大社例祭)」が行われ始めました。

平安時代

王朝文化・貴族文化が花開いた平安時代。都の文化は洗練され、さらに地方へと伝播し、独自性をもちつつ、さまざまな祭が形作られていきました。この頃の祭で代表的なのは、日本三大祭に数えられる京都・八坂神社の「祇園祭」や大阪天満宮の「天神祭」でしょう。1200年の伝統がある祇園祭は国指定重要無形民俗文化財にもなっています。
その他に、米原の「鍋冠祭(筑摩神社春の大祭)」、南魚沼の「裸押合大祭(筑摩神社春の大祭)」、諏訪の「御柱祭(式年造営御柱大祭)」、福岡の「放生会」「鬼すべ神事」、京都の「鞍馬の火祭(由岐神社例祭)」「太秦の牛祭」、「今宮やすらい祭」、愛媛の「新居浜太鼓祭」、姫路の「灘のけんか祭(松原八幡神社秋季例大祭)」、茨城の「石岡のお祭(常陸国総社宮大祭)」などが、1000年以上続く祭として知られています。