大阪三大祭(大阪三大夏祭)


大阪三大祭(大阪三大夏祭)

大阪の夏は、江戸時代より“愛染さんに始まり、天神さんで中をとり、住吉さんで締める”と言われます。その言葉のとおり、「愛染祭」「天神祭」「住吉祭」は、大阪三大祭(夏祭)として、大阪の人々に広く愛され、親しまれています。

天神祭(てんじんまつり)

大阪の夏「天神祭」
大阪の夏「天神祭」

日本三大祭にも歌われる、大阪の夏祭りといえば大阪天満宮の「天神祭」でしょう。1000年以上の歴史を感じさせる厳かな神事から、人々が熱狂する華やかな行事まで見どころ満載です。

期間は6月下旬吉日~7月25日の約1か月間ですが、中でも、25日の本宮に行われる、3000人を超える大人数で陸路を行幸する「陸渡御(りくとぎょ)」と、夜、大川(旧淀川)を100隻あまりの船で進む「船渡御(ふなとぎょ)」、天神橋筋商店街を巡行する「ギャルみこし」、そして奉納花火が人気です。大川に映る篝火や提灯灯り、花火などの華麗な姿から、火と水の祭典とも呼ばれています。24日の宵宮には鉾流神事(ほこながししんじ)も行われます。

天神祭の起源は天暦年間(10世紀)。天満宮の社頭の浜から神鉾(かみほこ)を流す神事が始まりとされています。鉾流神事とは、社頭の浜から大川に神鉾を流し、漂着した場所にその年の御旅所(御神霊がご休憩される場所のこと)を設ける神事です。 この御旅所の準備ができると御神霊は陸路で川岸まで出御、乗船して大川を下り御旅所へ向かうルートを辿りました。この航行が船渡御で、天神祭の起源とされています。やがて船の神事として規模が大きくなっていき、江戸時代には井原西鶴や近松門左衛門なども見学したと伝えられています。

【天神祭データ】
会期と会場
7/24~7/25
大阪天満宮(神輿は天満宮周辺で陸渡御と船渡御)
主な行事
7/24〈宵宮祭〉〈鉾流神事・催太鼓・獅子舞氏地巡行〉
7/25〈夏大祭〉〈神霊移御・陸渡御・船渡御・奉納花火〉
問い合わせ先
大阪天満宮 大阪府大阪市北区天神橋2-1-8
天神祭総合情報サイト(天神祭情報サイト事務局)


愛染祭(あいぜんまつり)

宝恵駕籠に乗る浴衣姿の愛染娘
宝恵駕籠に乗る浴衣姿の愛染娘

縁結びの神様としても知られる大阪の愛染堂勝鬘院(愛染さん)の夏祭「愛染祭」は、愛染娘たちをのせた宝恵駕籠(ほえかご)のパレードが人気です。江戸時代には芸者さんたちを乗せていたものを、現在に再現しています。祭の期間中は、連日祭囃子が鳴り響き、さまざまな芸能を見ることができます。

6月30日にはキャンペーンガールの浴衣姿の愛染娘12人を紅白の布と愛染かつらの花で飾られた7台の「宝恵駕籠」に乗せて「愛染さんじゃ、宝恵かご!」とJR天王寺駅前から勝鬘院まで練り歩くパレードが華やかです。最終目的地の愛染堂に到着した「宝恵駕籠」は、本堂の前で高々と「かご上げ」され、一層の盛り上がりを見せます。7月1日には、愛染娘たちが各自の隠し芸や一発芸(書道・カラオケ・チアダンス・手品など)を舞台上で披露し、ミス愛染娘を決定する愛嬌コンテストで盛り上がります。300余の露店も出て、大変な賑わいを見せるお祭りです。

愛染堂勝鬘院は、推古天皇元年(593年)に聖徳太子によって建立され、本尊として良縁成就・夫婦和合で有名な愛染明王が奉安されています。愛染祭は、6世紀に聖徳太子が始めた日本最古の夏祭りとしても知られています。
夏に向けて疫病が流行るということで、昔の人は6月30日に「夏越しのお祓い」を行ってきました。その風習を「夏越の大祭」として現在まで受け継いでいるのが、愛染祭初日の大法要です。
なお、祭り期間中は、愛染堂のご本尊「愛染明王」と、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に奉安したとされる、重要文化財多宝塔の「大日大勝金剛尊」が特別に無料開帳されます。

【愛染祭データ】
会期と会場
6/30~7/2
愛染堂勝鬘院(宝恵駕籠パレードは天王寺駅~愛染堂)
主な行事
6/30〈宝恵駕籠パレード〉〈夏越の大祭(夏越の御祓い)〉
問い合わせ先
愛染堂勝鬘院 大阪府大阪市天王寺区夕陽丘町5-36

住吉祭(すみよしまつり)

神輿渡御のクライマックス「川渡り」
神輿渡御のクライマックス「川渡り」

大阪三大祭の最後を締めるのは、住吉大社の「住吉祭」です。別名「おはらい」と呼ばれ、大阪中をお清めする祭です。見どころは、大阪府指定民俗文化財に指定されている「夏越祓神事」。そして「神輿渡御(みこしとぎょ)」は街道を進み、大和川へ。川の中を練り回り、「べーら」の掛け声が響き渡る祭のクライマックスです。

7月の海の日に行われる「神輿洗神事(みこしあらいしんじ)」にはじまり、7月30日20時より始まる「宵宮」、翌日17時より始まる「 例大祭・夏越祓神事」、そして、8月1日の最終日は、午後から堺市の御旅所まで大神輿が練り歩く「神輿渡御」が行われます。担がれる大神輿は重さ700貫(約2トン)。迫力の神輿が太鼓橋を渡る光景や大和川中を練り歩く様子は圧巻です。
「夏越祓神事」とは、華麗に着飾った夏越女が茅(ちがや)を1本取り、3か所に設置された茅の輪を茅を祓いながらくぐり、本宮に参進するという儀式です。また「例祭」では、神楽(熊野舞)や住吉踊りも奉納されます。

住吉大社の由来は神功皇后までさかのぼり、1800年以上の歴史があります。その祭礼は、最初の記録でも天平年間(8世紀)には夏祭の記述が見られます。さらに文永年間(13世紀)には神輿渡御、元禄年間(17世紀)には夏越祓神事の記述が見られ、早い頃から現在に至る行事の原型が行われていたようです。

【住吉祭データ】
会期と会場
7月海の日・7/30~8/1
住吉大社(神輿渡御は堺の宿院まで巡行)
主な行事
7月海の日〈神輿洗神事〉
7/30〈宵宮祭〉
7/31〈例大祭〉〈夏越祓神事〉
8/1〈渡御祭〉〈頓宮祭〉〈荒和大祓神事〉
問い合わせ先
住吉大社 大阪府大阪市住之江区安立2-8-22
住吉祭 神輿渡御(安立連合町会)