江戸三大酉の市
「酉の市」は、日本各地にある鷲神社（おおとりじんじゃ）で毎年11月の酉の日に行われる行事です。日本武尊（やまとたけるのみこと）を祀った鷲神社は、開運・商売繁盛の信仰の対象として知られています。本社は大阪の大鳥神社ですが、縁起熊手で有名な酉の市は、むしろ江戸時代に盛んとなり、現在も関東エリアの方が中心です。そこで、ここでは「江戸三大酉の市」として、有名な浅草、新宿花園、府中の「酉の市」をご紹介します。
浅草 酉の市（あさくさ とりのいち）
江戸っ子に愛される「お酉さま」
江戸時代から現在まで、最も有名な「酉の市」といえば、浅草の長国寺境内の鷲（おおとり）神社です。現在は明治政府による神仏分離に伴い、長国寺と鷲神社は独立しており、それぞれが江戸の「酉の市」発祥として、毎年約70万人もの人出でにぎわう都内随一の規模のお祭りとなっています。
鷲神社には、天日鷲命（あめのひわしのみこと）と日本武尊（やまとたけるのみこと）が祀られており、通称「おとりさま」と親しまれてきた神社です。
長国寺には、「鷲妙見大菩薩（わしみょうけんだいぼさつ）（おとりさま）」が安置されており、毎年11月の酉の日に厨子の扉が開かれます。酉の市は、このご開帳の法要後にはじまり、江戸時代から今に続く伝統行事です。
隣り合う鷲神社と長国寺両方の『おとり様』に開運幸福・商売繁盛を願う「神と仏の酉の市」としても知られています。
境内には金銀華やかな縁起熊手はもちろん、かわいい熊手守りがビッシリと並び、界隈には浅草の老舗・居酒屋・開運グッズなどの屋台が500店以上も軒を連ね、開運や商売などに良いご縁を求める、大勢の参拝客でにぎわいます。
【浅草酉の市データ】
会期
11月酉の日（2020年は11/2(月)、11/14(土)、11/26(木)。各日前日21時より入場開始）
会場・問い合わせ先
鷲在山 長国寺 東京都台東区千束3-19-6
浅草 鷲神社 東京都台東区千束3-18-7
大國魂神社 酉の市（おおくにたまじんじゃ とりのいち）
大國魂神社拝殿の西側にある大鷲神社
大國魂神社は、1900年前に創建されたと伝えられ、現在の東京都、神奈川県、埼玉県に位置していた「武蔵国」の総社となっています。つまり、大國魂神社を参拝することによって、武蔵国にある神社の多くを参拝したほどの多大な御利益をいただけます。
その大國魂神社境内にある大鷲神社の祭礼である「酉の市」は、熊手の他、農具なども売り出され、江戸時代から商人や農民など、府中の人々に広く愛される行事です。
大國魂神社は、「江戸三大酉の市」の、他の2神社と比較しても敷地面積が大きく、東京都内にある大鳥神社、鷲神社の中でも最大級とされます。
酉の市は非常に賑やかな印象がある祭礼ですが、大國魂神社で開かれる酉の市は比較的落ち着いて過ごしやすくなっています。熊手市がある参道付近や屋台周辺はもちろん賑やかですが、少し距離を置くと落ち着ける場所が確保されています。
150店におよぶ屋台が出店され、毎年約8万人を動員する大規模な祭礼として開催されています。
なお、大國魂神社の参道では、全長500mにわたる「馬場大門のケヤキ並木」を見ることができます。国指定の天然記念物とされており、ケヤキ並木としては国内で唯一となっています。現存しているものでは、樹齢約600年に及ぶ樹木もあります。
【大國魂神社 酉の市データ】
会期
11月酉の日（2020年は11/2(月)、11/14(土)、11/26(木)）
会場・問い合わせ先
大鷲神社（大國魂神社境内） 東京都府中市宮町3-1
花園神社 酉の市（はなぞのじんじゃ とりのいち）
江戸時代から人気のあった酉の市ですが、花園神社では明治にはいってから始まりました。新宿の駅から徒歩圏というロケーションから大勢の人が集まり、現在では毎年60万人もの人が訪れ、浅草と並ぶ賑わいを見せています。
この酉の市では、200店を超える屋台の他、今ではなかなか見ることがない「見世物小屋」を楽しむことができるのも魅力の一つです。
花園神社は都心のパワースポットとしても知られています。
境内にある末社の「威徳神社」は江戸時代から夫婦円満、子授け、縁結びなど恋愛に関するご利益がある稲荷様が祀られており、社の2か所にある木像と石像をなでることでご利益が得られると言われています。同じく境内の違う場所には芸能にご利益のある「芸能浅間神社」があります。
酉の市に行くついでに参拝するのもいいですね。
酉の市開催日の前日には前夜祭も行われます。開催時間は本祭が0:00～2:00、前夜祭が夕方ごろ～2:00となっています。
花園神社の境内には、酉の市の前夜祭・本祭の2日間にわたって、約900灯の提灯が立ち並び、縁起物の熊手を商う熊手商が軒を連ねます。
【花園神社 酉の市データ】
会期
11月酉の日（2020年は11/2(月)、11/14(土)、11/26(木)）
会場・問い合わせ先
新宿大鳥神社（花園神社境内） 東京都新宿区新宿5-17-3