湖国三大祭


湖国三大祭

「湖国三大祭」とは、琵琶湖のある大津で開催される祭の呼び名です。1000年以上の歴史がある「山王祭」、江戸時代から続く「大津祭」、そして近代に入り、古式を重んじて始められた「船幸祭」の3つをご紹介しましょう。

大津祭(おおつまつり)

京の祇園祭の風情を継承する湖国の曳山
京の祇園祭の風情を継承する湖国の曳山

琵琶湖の天孫神社で行われる「大津祭」は、滋賀県無形民俗文化財であり、京都祇園祭の影響を受けつつ、独自の祭の形が形成されたものです。一番の見どころは、13基ある曳山。すべて江戸時代に制作されたもので、からくり人形が特徴的です。巡行中には諸処でからくりを披露され、見物客を集めます。

祭の始まりは、大津商人の塩屋治兵衛が狸の面を付けて踊ったことが伝えられています。その後、江戸時代の寛永年間(17世紀)には曳山が制作され、現在の形へと発展していきました。曳山の“からくり”は能などに見られる故事を題材にしており、高い文化性と、庶民の楽しみを融合させたのが大津祭なのです。

【大津祭データ】
会期と会場
10月第2日曜・前土曜日
天孫神社(曳山は天孫神社~寺町通り)
主な行事
土曜日〈宵宮〉
日曜日〈本祭〉
問い合わせ先
天孫神社 滋賀県大津市京町3-3-36
NPO法人大津祭曳山連盟


山王祭(さんのうさい)

琵琶湖上で行われる「粟津の御供」
琵琶湖上で行われる「粟津の御供」

毎年春に開催される日吉大社の山王祭は、西本宮 大己貴神・東本宮 大山咋神のご鎮座の由来をたどりながら、天下泰平と五穀豊穣を願う一大祭典です。

牛尾山(八王子山)山上から山王七社の7基の神輿(1基1500kg)を担ぎおろし、東本宮 大山咋神と妃神 鴨玉依姫神の結婚式を表現した「午の神事」は、暗闇の中を松明の火のみで神輿が降りるさまが大変勇壮で、駕輿丁(かよちょう)と呼ばれる担ぎ手が命をかけて神輿を担ぐ様子に魅了されます。
甲冑を着た子どもたちが花を供える華やかな「花渡り式」、そして7神輿が町内をめぐり、琵琶湖上へと進む「神輿渡御」「粟津の御供」と、勇壮で歴史絵巻さながらの行事が繰り広げられます。
クライマックスは、御子神出産の儀式である「宵宮落とし神事」。神輿が揺さぶられ、大音声が鳴り響き、祭は最高潮を迎えます。

そもそも、比叡山の麓にある日吉大社は、2000年以上の由緒があり、全国3千8百余りある日吉・日枝・山王神社の総本宮です。その例祭も延暦年間(8世紀)に桓武天皇が2基の神輿を寄進されたのが始まりとされており、1200年以上の歴史を有します。


【山王祭(日吉大社例祭)データ】
会期と会場
4/12~4/15
日吉大社(神輿渡御は日吉大社~坂本町内~琵琶湖)
主な行事
4/12〈午の神事〉
4/13〈花渡り式〉〈宵宮落とし〉
4/14〈船渡御・粟津の御供〉
問い合わせ先
日吉大社 滋賀県大津市坂本5-1-1

船幸祭(せんこうさい)

瀬田川上を御座船に乗った神輿が進む
瀬田川上を御座船に乗った神輿が進む

近江一宮の建部大社例祭「船幸祭」は、日本武尊(やまとたけるのみこと)の海路東征の故事にちなみ、始められた名高い水上祭です。クライマックスは、瀬田川を進む、神輿を乗せた御座船。かがり火や提灯に船影が浮かびあがり、夜空には花火が上がります。大津の人々にとっては、夏の終わりを感じさせる大祭です。

建部大社の歴史は古く、日本武尊の父である景行天王の時代に創建されたと伝えられています。歴史ある古社ですが、祭の歴史は比較的新しく、大正4年(1915)の記念事業の一つとして始められました。

【船幸祭(建部大社例祭)データ】
会期と会場
8/17
建部大社(神輿渡御は建部大社~瀬田川)
問い合わせ先
建部大社 滋賀県大津市神領1-16-1