三大くんち(九州三大秋祭)


三大くんち(九州三大秋祭)

九州北部では、秋祭を「くんち」と呼びました。「くんち」とは「供日」とも書き、いわゆる収穫祭ですが、その内容には地域性や歴史が重なり、それぞれ独自性があります。その中で特に有名な「長崎くんち」「博多おくんち」「唐津くんち」を「三大くんち(九州三大秋祭)」としてご紹介します。

なお、祭好き博多っ子らしく、博多には人気の祭が集中しています。そこで「博多おくんち」を除いた、「博多三大祭」を次項でご紹介します。

長崎くんち(ながさきくんち)

長崎くんちの「傘鉾・龍踊」
長崎くんちの「傘鉾・龍踊」

名高い「長崎くんち」は、380年の伝統を持つ、長崎市民の氏神・鎮西大社諏訪神社の秋季大祭です。
見どころは、各町の「奉納踊り」。踊りを奉納する町を「踊町(おどりちょう)」と言い、各町が7年に一度奉納することになっています。77の町(旧町)があり、例年5~7の踊りを見ることができます。
各町の奉納踊りには、有名な「龍踊(じゃおどり)」や「鯨の潮吹き」「御朱印船」「阿蘭陀万歳」「太鼓山(コッコデショ)」など、ポルトガルやオランダ、中国・ベトナムなど南蛮、紅毛文化の風合いを色濃く残した、独特でダイナミックな演し物(奉納踊)を特色としており、傘鉾、曳物(山車・壇尻)、太鼓山など、京都や堺の影響も窺えます。

勇壮華麗な演し物にアンコールを意味する「モッテコーイ」のかけ声が響き、観客の熱気も最高潮になります。
毎年この3日間、町を挙げて催され、県内外からたくさんの観光客が見物に訪れる、長崎を代表する秋の大祭となっています。

祭(くんち)の始まりは江戸時代の寛永年間(17世紀)、二人の遊女が諏訪神社に舞を奉納したことと言われています。その後、年々盛んになっていき、さらに長崎という土地柄から、中国や南蛮文化の影響を受けました。
この「長崎くんちの奉納踊」は国指定重要無形民俗文化財となっています。


【長崎くんち(諏訪神社秋季大祭)データ】
会期と会場
10/7~10/9
諏訪神社(神輿渡御は諏訪神社~大波止の御旅所)
主な行事
10/7〈奉納踊り〉〈神輿渡御~お下り〉
10/8〈例大祭〉
10/9〈神輿渡御~お上り〉
問い合わせ先
鎮西大社 諏訪神社 長崎県長崎市上西山町18-15
長崎くんち(長崎伝統芸能振興会)


博多おくんち(はかたおくんち)

春と秋に大きな祭がある「櫛田神社」
春と秋に大きな祭がある「櫛田神社」

「博多おくんち」は、博多で1200年以上の由緒がある櫛田神社の秋の例祭です。かつては収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)でしたが、昭和28年(1953)より、名称を変更して新たに祭礼を行うようになりました。神輿渡御や稚児行列の他、五穀豊穣市、相撲大会などが催されています。

23日からが本祭で、その前日22日に博多埠頭の浜宮にて浜宮祭・神輿潔めが行われます。甘酒の接待や本番に備えての神輿潔め、境内では五穀豊穣に感謝して市場も開かれます。
本祭は11時より行われ、夜には境内を千灯明で照らす幻想的な演出があります。
一番の見所は24日の御神幸式で、牛車の曳く神輿(みこし)を中心に、稚児行列、ブラスバンドやミス博多の乗るオープンカーなど、例年200人余りが参加し約2kmのパレードを行います。

例年、大幡大神の「櫛田宮」の神輿(冷泉町が受け持ち)、天照皇大神の「大神宮」の神輿(上川端町が受け持ち)、そして素盞鳴大神の「祇園宮」の神輿(祇園町が受け持ち)のうちから1基が御神幸行列に並びます。また、25年に1度の御遷座周年の節目には3基が揃って行列に並びます(直近では2007年でした)。


【博多おくんち(櫛田神社秋季大祭)データ】
会期と会場
10/23~10/24
櫛田神社(神幸パレードは博多の繁華街を巡行)
問い合わせ先
櫛田神社 福岡県博多区上川端町1-41
博多おくんち(福岡・博多の観光案内サイトよかなび)

唐津くんち

巨大な曳き山が魅力 写真提供:唐津市
巨大な曳き山が魅力 写真提供:唐津市

毎年11月に唐津神社で開催される秋季例大祭「唐津くんち」は、掛け声とともに曳山が駆け抜ける勇壮な祭として知られています。笛、鐘、太鼓で奏でられる三ッ囃子(みつばやし)や曳子(ひきこ)の「エンヤ、エンヤ」「ヨイサ、ヨイサ」の掛け声に乗って14台の豪華絢爛(ごうかけんらん)な曳山が勇壮に旧城下町を巡行します。

その特徴はなんといっても獅子。漆塗りの獅子頭を被って舞う「カブカブ獅子」の奉納や、大きな赤獅子・青獅子を乗せた曳山の巡行で知られています。
曳山はそれぞれ形が異なり、獅子や兜(かぶと)、亀や鯛などさまざまな形をしており、和紙や漆、金箔などで仕上げられた世界最大級の乾漆造(かんしつづくり)の美術工芸品となっています。
そもそも、唐津くんちは江戸時代に始まったと考えられていますが、独特の「獅子」は文政年間(19世紀)に、木彫家の石崎嘉兵衛が作り、奉納したものが曳山行事の原点と伝えられています。

唐津くんちの曳山行事は、国の重要無形民俗文化財に指定され、14台の曳山は佐賀県の重要有形民俗文化財に指定されています。また平成28年(2016年)12月にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。


【唐津くんち(唐津神祭)データ】
会期と会場
11/2~11/4
唐津神社(神輿渡御は唐津神社~市内一巡)
主な行事
11/2〈宵ヤマ〉
11/3〈御旅所神幸〉
11/4〈町廻り〉
問い合わせ先
唐津神社 佐賀県唐津市南城内3-13
唐津くんち(唐津観光協会)