いろいろある祭の種類


いろいろある祭の種類

古今東西、「祭」はその土地の歴史や文化を表す鏡のような存在です。日本にも数多くの祭があり、さまざまな特徴を見せています。ここでは、ざっくりと祭を分類してみましょう。

祇園祭

祇園祭

「祇園祭」といえば、京都の夏祭、なぜ分類の筆頭にあげるのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、八坂神社の「祇園祭」は、あまりにも有名です。疫病が蔓延することの多かった時代、疫神を慰めるために行われた「祇園御霊会」を原型として始まり、1000年以上の歴史があります。しかし、祇園祭は京都だけではないのです。京都の祇園祭は、全国に伝播していったのです。平安時代以降、京は日本の文化の中心であり、その憧れから、各地でも模した祭が、その土地の風習を吸収しつつ、次々と開催されていったのです。

曳山祭

曳山祭

祇園祭と言えば、壮麗な山鉾(やまほこ)が知られています。山鉾とは、山車(だし)の別名。他にも屋台とか曳山(ひきやま)とか、地域によって色々な呼び名がありますが、要するに曳いて街中を練り歩くものです。この「曳山」で有名となっている祭は、前述の祇園祭を筆頭に、全国に数々あります。美術工芸品の結晶である彫刻やからくり人形などを施したもの、夜になって提灯などをぶら下げ、幻想的な光景を描くものなど、地域によって違いがあり、見どころとなっています。

川祭と船祭

日本は水の豊かな国土を持っています。そのため、水上が舞台の祭である「川祭」や「船祭」などもたくさんあります。神輿を担いで水に入り、猛々しく進んだり、水面に船を浮かべ、優雅に進むものもあります。朝日を浴びた水辺の光景、あるいは夜の水面に提灯などの明かりが映し出す光景など、幻想的な様子に多くの人々が魅了されています。

喧嘩祭と荒神輿祭

神輿や曳山などは、賑やかに楽しく練り歩くものばかりではありません。中には、あえて付き合わせたり、擦り合わせたり、また階段や船上から落としたりと、猛々しいものもあります。そのような祭を「喧嘩祭」とか「荒神輿祭」などと呼んでいます。勇壮な祭もまた、人々を熱狂させます。

奇祭

荒々しさで有名となった祭も他の地域の人間から見れば奇妙に見えるかもしれませんが、それ以外にもっと変わった祭が全国にはいろいろあります。例えば、裸祭。しかし、そこに至る経緯があり、理由があります。その伝統や風習にのっとって、現在まで生き続けているのを、「奇祭」と呼んでいます。


火祭と提灯祭

闇夜に灯る火は、常に人々を惹きつけます。祭の中には、夜が主役となるものもたくさんありますが、力強さ、あるいは美しさで、人気のあるものばかりです。原始的な形を残す松明やかがり火の炎、そして近世になって主流となった提灯のゆらめき。いずれも華やかな祭です。

盆踊りと花火大会

盆踊りや花火も、賑やかな夜を彩る祭です。日本全国、地元に密着した祭ですので、日本人なら一度は参加したと言う人がほとんどでしょう。いずれも夏祭が中心ですが、花火は秋や冬の祭にも登場してきました。現在、大きな花火大会と言えば明治以降のものが多く、イベントとして全国の自治体などで企画・開催していますが、江戸時代にはすでに花火大会は始まっており、当時の書物などにもよく登場しています。

御田植祭

いわゆる「田植祭」は、豊作を祈る原始的なものも含めれば、かなり古くから各地で行われてきました。その中で、「御田植祭」と称するものは、寺社などの御田での行事となっています。古式を色濃く残しているものが多く、タイムスリップしたかのような光景が展開されます。

酉の市とだるま市

11月の風物詩である「酉の市」と、新春の「だるま市」は、縁起ものの熊手やだるまを売る市です。開運や商売繁盛などを願い、江戸時代頃から急速に、商人を中心とした庶民の間に広がり、現在に至っています。縁日にはさまざまな露店なども立ち、賑やかに祭を楽しむことができます。