江戸三大祭の異説


江戸三大祭の異説

前項では「江戸三大祭」として、古くから江戸っ子に愛され続けている東京の祭「深川八幡祭」「神田祭」「山王祭」をご紹介しましたが、「三大祭」は違う3つを上げる方もたくさんいらっしゃいます。例えば、神田・山王・根津とか、三社・鳥越・神田とか・・・。ですから、ここでは「江戸三大祭」として、他にあがる祭のうち「根津権現祭」「三社祭」「鳥越祭」をご紹介します。

根津権現祭(ねづごんげんまつり)

日本有数の古社の一つである根津神社
日本有数の古社の一つである根津神社

根津神社の例大祭は、江戸時代の神社の呼び名「根津権現」から根津権現祭として知られています。江戸時代には、徳川将軍の上覧もあった天下祭の一つであり、伝えられている神楽「三座ノ舞」は東京都文京区指定無形文化財です。一番の見どころである大神輿の巡行がある神幸祭が行われる本祭は4年に一度です。

そもそも根津神社は、神話時代の日本武尊(やまとたけるのみこと;伝1900年前)が創祀したと伝えられる江戸でも屈指の古社です。6代将軍徳川家宣が正徳年間(18世紀)に祭礼を定め、江戸全町より山車を出すという大規模な祭になりました。現在は往時の規模ではありませんが、その当時家宣が献納した大神輿3基が現存しています。

【根津権現祭(根津神社例大祭)データ】
会期と会場
9/21 
根津神社
問い合わせ先
根津神社 東京都文京区根津1-28-9


三社祭(さんじゃまつり)

荒々しく揺さぶられる三社祭の神輿
荒々しく揺さぶられる三社祭の神輿

毎年5月に行われる浅草神社の例大祭は、「三社祭」としてよく知られています。お囃子や踊りなどの大行列、揃いの法被が勇ましい氏子各町神輿連合渡御、さらには厳かに巡行する本社神輿の渡御など、見どころが満載です。江戸風情を残しつつ勇壮かつ華やかなお祭りとして、三日間にわたり約180万人の人出で賑わいます。

初日は、お囃子屋台をはじめ鳶頭木遣りや浅草の各舞、また芸妓連の手古舞や組踊り等で編成された「大行列」が浅草の町に祭礼の始まりを告げ、東京都無形文化財指定の「神事びんざさら舞」も奉納されます。
二日目には、「例大祭式典」が斎行され、その後に「町内神輿連合渡御」によって浅草氏子四十四ヶ町の町内神輿約百基が神社境内に参集し、一基ずつお祓いを受けて各町会を渡御します。
最終日は、宮神輿三基「一之宮」「二之宮」「三之宮」の各町渡御として、早朝には神社境内から担ぎ出される「宮出し」が行われ、日中は氏子各町を三方面に分かれ渡御し、日没後に神社境内へ戻る「宮入り」を迎えて祭礼行事が終わります。 。

三社祭の名称は、浅草神社の旧名である三社大権現社または三社明神社(檜前浜成・竹成の兄弟と土師真中知の3人を祀ってあるため)に由来します。神社の創祀は推古天皇の時代(7世紀)までさかのぼると伝えられていますが、祭が始まったのは鎌倉時代の正和年間(14世紀)。当時は船祭でしたが、明治以降は現在のように神輿の渡御が行われるようになりました。


【三社祭(浅草神社例大祭)データ】
会期と会場
5月第3金-日曜日
浅草神社(神輿渡御は浅草の各町会を巡行)
主な行事
金曜日午後〈大行列・無形文化財「びんざさら舞」奉納〉
土曜日午後〈町内神輿連合渡御〉
日曜日午前〈本社神輿各町渡御〉
問い合わせ先
浅草神社 東京都台東区浅草2-3-1
浅草神社奉賛会 三社祭公式情報

鳥越祭(とりごえまつり)

東京一の重量と言われる鳥越祭の大神輿
東京一の重量と言われる鳥越祭の大神輿

毎年6月に開催される「鳥越祭」は、台東区鳥越にある鳥越神社の祭礼です。闇夜に浮かぶ提灯神輿・高張提灯などに囲まれ、大神輿が練り歩くさまは勇壮華麗なものです。

鳥越神社の御本社神輿は「千貫神輿」と称し、狭い下町の町内を渡御するので、大きな胴体に比べ太く短い担ぎ棒となっており、担ぎ手一人の負担も大きく、より重く感じるので、その重さから、昭和の初めより都内で最も重い神輿と言われています。
日曜日には、この御神輿を氏子各町が引き継ぎながら担ぎ、渡御列の先頭には、猿田彦(天狗)や手古舞連、子供たちの持つ五色の旗が歩きます。夜8時過ぎの宮入道中では、神輿の弓張提灯と町会の高張提灯に火が入り、祭りは最高潮を迎えます。この宮入道中は「鳥越の夜祭り」と言われ、荘厳かつ幻想的です。

鳥越神社の歴史は古く、平安時代には既にお祭があったと言われています。有名な千貫神輿も、江戸時代からあったらしく、暗闇の中を提灯の灯りがユラユラと揺れる事から、当時から“お化け神輿”などとも呼ばれる「元祖千貫神輿」です。ちなみに千貫というと、約3750kgですが、お祭り界隈で言われる”千貫神輿”は大きいお神輿の総称として使われ、必ずしもこの重さというわけではありません。


【鳥越祭(鳥越の夜祭)データ】
会期と会場
6月9日頃の土日曜日
鳥越神社(神輿は鳥越の各町会から練り歩き)
主な行事
土曜日〈町神輿渡御〉
日曜日〈本社渡御〉
問い合わせ先
鳥越神社 東京都台東区鳥越2-4-1