日本三大川祭


日本三大川祭

日本では川や海が神事と密接に関係しているものがたくさんあります。神輿の川渡しや船に乗せた楽車(だんじり)のお練りなど、優美であったり勇壮であったりと見どころがたくさんです。その中で、愛知の「尾張津島天王祭」、宮島の「管弦祭」、大阪の「住吉祭」を、「日本三大川祭」としてご紹介します。

尾張津島天王祭(おわりつしまてんのうまつり)

天王川に浮かぶ楽車船
天王川に浮かぶ楽車船

「尾張津島天王祭」は津島神社の祭礼として600年近くの歴史があり、7月第4土曜日の宵祭と翌日曜日の朝祭を中心に、その前後の3ヶ月に及ぶ神事がある大きな祭です。川辺で繰り広げられる行事は、夏祭りでも屈指の美しさと言われています。

中でも、津島五車による巻藁(まきわら)船が津島笛を奏でながら漕ぎ渡る「宵祭」が見どころ。午後7時頃から如意点灯(提灯に点灯)が始まり、午後9時頃に、5艘の巻藁船(提灯船)が車河戸から天王川に漕ぎ出します。提灯の光が水面にゆらめき、幻想的な光景です。

翌日の「朝祭」では、市江の車楽舟(だんじりぶね)と、宵祭が終わった後、提灯を外すなどして夜を徹して朝祭用に飾り変えをした津島の5艘の車楽舟が川に漕ぎ出します。市江車には十人の若者が締め込み姿で布鉾を持ち、途中から天王川に飛び込み泳ぎ、津島神社に通じる岸まで渡った後、神社まで走って神前に布鉾を奉納します。車楽舟の二段屋台には置物(能人形)が飾られ、稚児、囃子方(締太鼓・笛・太鼓)、乗り方衆、祝司らが乗船し、天王川を奏楽しながら漕ぎ渡る様は華麗です。

祭の由来は、はっきりしたことがわかっていませんが、16世紀には既に楽車船があったことが記されており、織田信長が見学したことも伝えられています。「尾張津島天王祭の車楽舟行事」は昭和55年に国の無形民俗文化財に指定されており、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

【尾張津島天王祭データ】
会期と会場
7月第4土・日曜日
津島神社(神社~津島市街地、天王川)
主な行事
土曜日〈宵祭(提灯祭)〉
日曜日〈朝祭(楽車祭)〉
問い合わせ先
津島神社(津島牛頭天王社) 愛知県津島市神明町1
まつりの館 津島屋(津島市観光交流センター公式サイト)


管弦祭(かんげんまつり)

平安貴族の管弦遊びを模した「管弦祭」
平安貴族の管弦遊びを模した「管弦祭」

毎年旧暦の6月17日に宮島の厳島神社で行われる「管弦祭」は、海上に夕方から深夜にかけて平安絵巻が繰り広げられる雅な祭事です。海に浮かぶ厳島神社ならではの祭であり、古くから多くの観光客を魅了してきました。地御前神社周辺には多くの屋台が出店され、お祭りの雰囲気をさらに盛り上げます。

午後4時に出御祭があり、大鳥居前から御鳳輦(ごほうれん)を乗せた御座船が呉市阿賀町と広島市江波町の船に曳航されて出発します。船内では管弦奉奏を繰り広げながら、軸先の左右に篝火を焚き、二十数個の提灯に灯りを燈した華やかなその姿を暗い海に映し、瀬戸の波に進んでいく神事を執り行います。
神事のクライマックスは、対岸の地御前から宮島へと帰ってくる御座船が、長浜神社大元神社前松人が手に持つ提灯の灯り(ちょうちん行列)に迎えられ祭典を行った後、大鳥居をくぐって厳島神社内の客神社前で行う祭典と管弦の奉奏です。「ちょうちん行列」のちょうちんは無料で配られるので、受け取って行列に参加すると厳島神社の本殿でお祓いを受け、クライマックスを見ることができます。
23時頃本殿に御祭神が戻りますが、この時に御祭神に触ると御利益にあずかれると言い伝えがあり、多くの人が御祭神に集まります。

平安貴族の間では、池や川に船を浮かべて音曲を楽しむ「管弦の遊び」がよく行われていました。それを模して、海に船を浮かべて神様を慰める神事としたのが厳島神社の「管弦祭」です。平安時代に平清盛(12世紀)が始めたと伝えられています。

【管弦祭データ】
会期と会場
7/24頃(旧暦6/17)
厳島神社(宮島の海上)
問い合わせ先
厳島神社 広島県廿日市市宮島町1-1
宮島観光協会
宮島観光公式サイト(廿日市市環境産業部観光課)

住吉祭(すみよしまつり)

大阪三大祭の一つである住吉大社の「住吉祭」は、神輿の大和川川渡りが祭のクライマックスです。神輿の担ぎ手達は、「べーら」の掛け声とともに、水を蹴り上げ、神輿を差し上げ、駆け抜ける勇壮な祭であり、1200年の歴史があります。なお、祭の詳細は「大阪三大祭」をご覧ください。

【住吉祭データ】
7月海の日・7/30~8/1
住吉大社(大阪府大阪市住之江区安立)