京都三大祭


京都三大祭

京都は日本が誇る古都。平安の世から続く王朝文化が色濃く残り、数多くの神社仏閣とともに、数々の祭が現在まで伝えられています。その中で、1000年以上の歴史ある、春の「葵祭」と夏の「祇園祭」、そして近代のものですが、京都の歴史を集約させた大規模な祭である、秋の「時代祭」を、「京都三大祭」としてご紹介します。

祇園祭(ぎおんまつり)

祇園祭の見せ場である山鉾巡行
祇園祭の見せ場である山鉾巡行

京都を代表する「祇園祭」は、1000年以上の歴史を誇る伝統の祭です。八坂神社の祭礼で、その祭事は、7月1日の「吉符入」に始まり7月31日の「疫神社夏越祭」まで、およそ1か月にわたって行われます。

期間中には見どころがたくさんありますが、中でも特に人気があるのは、祇園囃子の音が響く夏の夜の「宵山」、祭のハイライトである33基の「山鉾巡行」、そして「神輿渡御」です。

「宵山」は、日が暮れて駒形提灯に明かりが灯り、祇園囃子が流れるなか、山や鉾を鑑賞できます。また「屏風祭」では、山鉾町の旧家で表の格子をはずしたりして、秘蔵の屏風などを飾り付けた座敷を開放する「屏風飾り」が行われます。
「山鉾巡行」は、前祭は四条烏丸から、後祭は烏丸御池から出発します。巡行順を確認する「くじ改め」や豪快な「辻廻し」など、見所がたくさん。美しい刺しゅうや舶来の織物など山や鉾の装飾品の美しさも見事で、豪華絢爛。「動く美術館」とも呼ばれています。

祇園祭の始まりは、平安時代に流行した疫病の退散を祈願した「祇園御霊会」とされています。当初は都にある神泉苑(庭園)で神楽や田楽などを行い、祈りを捧げていましたが、後に神輿渡御や山鉾を出しての練り歩きが始まり、現在では、その規模と歴史は世界的にも指折りの祭と行ってもよいでしょう。
祭りは国指定重要無形民俗文化財になっており、特に「京都祇園祭の山鉾行事」はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。


【祇園祭データ】
会期と会場
7/1~7/31
八坂神社、氏子地域一帯
主な行事
7/10 16:30~21:00〈お迎え提灯・神輿洗〉
7/12~7/13〈鉾曳き初め〉
7/14~7/16 11:00~〈屏風祭〉、18:00~〈宵山(祇園囃子)〉
7/15〈伝統芸能奉納〉
7/16 19:00~〈石見神楽の奉納〉、23:00~〈日和神楽〉
7/17 9:00~〈山鉾巡行〉、18:00~〈神幸祭 神輿渡御〉
7/24 10:00~〈花笠巡行〉、17:00~〈還幸祭〉
7/28 20:00~〈神輿洗〉
7/31〈疫神社夏越祭〉
問い合わせ先
八坂神社 京都府京都市東山区祇園町北側625
京都・祇園祭ボランティア21事務局(茶道裏千家淡交会総本部内)


葵祭(賀茂祭)(あおいまつり/かもまつり)

京都御所を進む葵祭の命婦たち
京都御所を進む葵祭の命婦たち

「葵祭」は、今から約1500年前に始まったとされる上賀茂神社と下鴨神社の例祭です。平安時代から、朝廷の最も重要な祭祀として、国家的な行事となっており、現在も大勢の観光客で賑わっています。

5月初旬から流鏑馬神事(やぶさめしんじ)や賀茂競馬(かもくらべうま)などさまざまな行事(前儀)が行われますが、最大の見どころは、5/15に行われる平安の王朝文化を残す行列。京都御所から下鴨神社・上賀茂神社へのおよそ8キロもの新緑の都大路を、総勢500名を超える平安絵巻さながらの優雅な行列がねり歩きます。

京都最古の祭で、内裏の御簾や御所車、勅使など行列のすべてに葵の葉が飾られています。これは、桂の小枝に、下鴨神社と上賀茂神社の神紋である二葉葵の葉を絡ませたものです。葵祭は、もともとは「賀茂祭」と呼ばれていましたが、江戸時代に祭が再興されてから葵の葉を飾るようになり、「葵祭」と呼ばれるようになりました。

ちなみに、源氏物語の中では、主人公の光源氏が、葵祭の勅使を務め、妻がその行列を見るシーンが描かれています。平安の時代から、葵祭が貴族達の間でも大切な祭であったことがわかるエピソードです。


【葵祭(賀茂祭)データ】
会期と会場
5/15
上賀茂神社・下鴨神社(行列は京都御所~下鴨神社~上賀茂神社)
問い合わせ先
上賀茂神社 京都府京都市北区上賀茂本山339
下鴨神社 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
葵祭(京都市観光協会)

時代祭(じだいまつり)

通りを進む時代祭の行列
通りを進む時代祭の行列

毎年秋に開催される「時代祭」は、平安神宮の祭です。見どころは、各時代に扮した大行列。明治維新・江戸・安土桃山・室町・吉野・鎌倉・藤原・延暦の8つの時代の総勢2000名を超える行列となっています。また、その衣装や調度にも注目が集まります。京都の伝統工芸の粋と時代考証によって復元されたものであり、まさに現代に甦った時代絵巻なのです。

京都三大祭において、時代祭は比較的時代の新しいもの。平安遷都1100年祭の記念行事として、明治28年(1895)に創建された平安神宮の祭だからです。この壮大な行列は、都の歴史と文化を一目でわかるもの、というコンセプトで企画されました。

【時代祭データ】
会期と会場
10/22
平安神宮~京都御所
問い合わせ先
平安神宮 京都府京都市左京区岡崎西天王町
時代祭(京都市観光協会)